「おめでとうございました」
カテゴリー:司会お仕事日記
2017.04.24
今日は、表彰式および懇親会の司会でした。
およそ100人もの受賞者の方々。
表彰状授与にあわせて会場に流れる曲は・・・
イフウドウドウ
エルガーの威風堂々
輝かしい成果に誇りをもって、堂々と胸を張ってご登壇。
祝福の拍手に包まれます。
式典会場からパーティー会場へとお席をうつして、懇親会です。
ご来賓からのご祝辞「このたびは、誠におめでとうございました」の言葉。
この「おめでとうございました」に違和感がある人が、
NHK放送文化研究所の調査で54%をこえているそうです。
違和感があるという方は、その理由として、
「おめでとうございます」「ありがとうございます」
これを過去形にしてしまうのは、おめでたいことや、ありがたいことが、
もうすでに終わって過ぎ去ってしまったことのようで、失礼に感じる、と。
実は、
「おめでとうございました」「ありがとうございました」の最後の「た」は、
過去形の「た」ではありません。
完了形の「た」です。
「うちに帰ったときに、電話をしたよ」
「うちに帰ったときに、電話をするね」
同じ「帰った」でも、
下の場合は、まだ帰っていないので、過去形ではありませんよね。
「ああ、よかった」
「あ、ここにあった」
「なんだ、ここにいたんだ」
いずれも、今現在のことにたいして、認識が完了した「た」です。
「よかった」と、ホッとしている人が、もう「よい」ことが終わって過ぎたこととは捉えていないですよね。
「おめでとうございます」に対して、「おめでとうございました」は、
おめでたいことの状態の認識が完了して、感嘆をあらわしている、
本当によかった!と両手で握手をするような、喜びを強めているような印象でしょうか。
「おめでとうございます」も「おめでとうございました」も、お祝いの気持ちに違いはないはずです。
ただ、過半数、54%もの人が、違和感があるということは、マイクを通して話す時には、やはり注意が必要です。
実のところ、私も司会で「おめでとうございました」は使いません。
残念ながら、会場の過半数のお客さまが、疑問や不快な違和感をもつ言葉であれば、
日本語として誤りではないからといって、わざわざ司会者が使ってお祝いのお席に水を差すことは、控えたいですからね。
フリーアナウンサー 三浦貴子