「よろしかったでしょうか」
カテゴリー:気になる言葉遣い
2017.07.04
「くるみあんと、みたらしと、ずんだあんをください」
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」
あら、よろしくないですね。
「よろしかったでしょうか」
気になるファミコン敬語の代表選手です。
ファミコン敬語とは、ファミリーレストラン、コンビニエンスストアの
スタッフ向けのマニュアルから派生した間違い敬語のこと。
先ほどの文章は、
「ご注文は以上でよろしいでしょうか」が正しいですね。
ただ、北海道、東北地方では、この表現に対して、
違和感のある人は比較的少ないようです。
方言で、「です」「ます」と強く言い切ることを避けて、
「でした」「ました」と柔らかく表現することに慣れているからだそう。
例えば、こんな仙台弁、
訪ねられた者が外出中のときに、
「すみません、○○は、出かけていました〜」
雨の日に電話で天気を尋ねられて、
「今、こっちは雨が降ってましたよ〜」
バスの運転手さんが目的地に着く時に、
「次は終点、仙台駅でした。お忘れ物ないようにご注意ください。次は、仙台駅でした。ご乗車ありがとうございました〜」
どれも、今のこととして話しています。
仙台弁に慣れていないと、
出かけていたのなら帰ってきてるのね、と、受付でじっと待ってしまったり、
雨が降っていたなら、もう今は止んだのね、と、雨具なしに向かってしまったり、
仙台駅でしたって言った?
え、終点なのに乗り過ごした? これ回送?
なんて、慌てることもないとはいえません。
「ご注文は以上でよろしかったでしょうか」
このマニュアルが作られたのは、北海道のファミレスだそうです。
北海道発祥のファミレスといえば、あのワンプレートハンバーグ屋さん…でしょうか?
そのファミレスが大きくなり、全国展開したことでマニュアルも一緒に南下していきました。
北海道の優しい気持ちからはじまった言葉が、共通語の舞台では叩かれてしまいました。
正しい日本語は大切です。
それはもちろんわかるのですが、
東北人だと、その柔らかさ、
それも、ちょっとわかるんですよね。
だから
仙台のおだんご屋さんでは、
これでも「よろしかった」のではないでしょうか。
フリーアナウンサー 三浦貴子