以上をもちしまて…?
カテゴリー:気になる言葉遣い
2017.03.18
セレモニーの多い三月。
今週も、卒業式を迎えた美しい袴姿の学生さんを目にしました。
ドラマや映画でも、時々セレモニーの場面がありますが、気になることが。
よく耳にする、司会者の閉式のコメント、「以上をもちまして、閉式といたします」。
ちょっとおかしいと感じませんか?
「以上」という言葉自体が、「ここまで(上)を、もち(以ち)まして」と表していますよね。
つまり、「以上をもちまして」では、「これを以ちまして、以ちまして」と重ねて言っていることに。
「これを以ちまして、閉式といたします」
或いは、「以上で、閉式といたします」。
この方が、しっくりきます。
この言葉でもう一つ、気になることが。
「以って」を「以ちまして」のように、丁寧に直すことに抵抗がある人もいるようです。
例えば、
「とって」を「(私どもに)とりまして」
「ついて」を「(その件に)つきまして」
「おいて」を「(弊社に)おきまして」
いずれも丁寧な言い方として、十分浸透しているように思います。
本来であれば、「これを以って、閉式といたします」
こちらが正しいのでしょう。
ただ、話し手によっては、ぶっきらぼうに聞こえかねません。
若い方など、悪気はないのに、偉そうに聞こえてしまっては困りますよね。
私は、基本的に、「これを以ちまして、閉式といたします」
このように話しています。
時に言葉遣いに十分配慮する必要がある現場では、
「以上で、閉式といたします」
厳粛さが増しますよね。
言葉は生物。
時代にあわせて変化します。
それでも時代に流されるのではなく、本来の意味を正しく理解して、
場面にあわせて、使っていくことが、司会者の責任だと思います。
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まずは『「以上をもちまして」一掃キャンペーン』を
地味に展開していこうと思います。
フリーアナウンサー 三浦貴子